ドナルド・ワンドレイ (Donald Wandrei) の短編を一つ、翻訳してみました。パルプ時代にはかなりの顔だった作家のようですが、今日の日本ではほとんど知られていません。
訳者は『別冊奇想天外』の古典特集号で『巨像』という作品を読んだ記憶がありますが、調べたところ日本語に翻訳されているSF作品はこの一編だけ(!)だったようです。ほか、怪奇小説のアンソロジー等に短編がいくつか収録されているようですが、訳者は未読です。
訳者が本作に着目した理由は、別件でProject Gutenbergの「Science Fiction Bookshelf」の「W」の部を見ていたら、たまたま見覚えのある作者名を見つけて(この時点では『巨像』の人であることまでは思い出せなかったものの)、なおかつ珍しくレビューが付いていたので読んでみたものです。
素朴で良いパルプSFだと思います。お楽しみいただければ幸いです。
なお、原文は章分けされていません。章分け、章題命名、節へのナンバリングは訳者によるものです。
(2019年06月16日)
追記。「読心能力者への対抗策として、意味のない考えで自分の頭をいっぱいにする」というテクニックは現代SFでは定番です。例えば戦後の『分解された男』では極めて洗練された描写があります。では、その起源は? あまりにも当たり前のテクニックなのでこれまで追求しようと思ったことが無かったのですが、ひょっとすると本作における天文学者フォーバルの努力は、このテクニックの起源とは言わずともかなり初期のものではあるかもしれませんね。
(2019年07月03日)