訳者ノート:金星での難破

ニール・R・ジョーンズ――言わずと知れた「ジェイムスン教授」シリーズのジョーンズ――の短編です。一年ほど前に着手して、一章の半ばで放棄したまま忘れていたものを発見したので仕上げてみました。

ハード・サイエンス・フィクションとして(あるいはスペース・オペラとしても)どこか見どころがあるのかと聞かれると答えに窮しますが、素朴感は悪くないですね。あと古き良きスペース・オペラの通例に反して中近東的な固有名詞がちょくちょく出てくるのには興味を惹かれます。この作中世界はどういう歴史を辿ったのでしょうか。そういえば(Wikipediaによると)ジョーンズの作品の多くは共通の未来史に属しているらしいですが、本作もその一環なのですかね。

(2019年5月8日)


追記。久しぶりに『野田SFコレクション 図説ロケット』(2002年)を読み返していたら、本作が43ページで『金星の遭難事故』として紹介されていることに気づきました。

何と言うか、自分がお釈迦様の掌中から逃れられない孫悟空だと思い知らされました。そして、十数年前にはプロしかアクセスできなかった資料が、いつの間にか素人でもアクセスできるようになっていたことを改めて認識して感慨深く思いました。

(2019年8月25日)