訳者ノート:氷河期来たる

黎明期の『アメージング・ストーリーズ』――実はヴェルヌやウェルズのリプリントばかりだった――における最初の新作という記念碑的な作品であります。

内容的にもなかなか興味深いものがあります。不老不死というテーマは近代SF以前からありましたが、本作のスタンスはそれらとは一線を画し、確かに近代SFのものである……と言えるのではないでしょうか。

本作を最初に翻訳してみたのはたぶん10年ほど昔のことなので、着目した理由は忘れてしまいました。まあ多分、短くて絵が付いていたからでしょうか。半分ほどのところで飽きて放棄した記憶があります。しかし今回、ハードディスクを漁っても進捗1割ごろのバージョンしか見つからなかったため、残りの9割を泣く泣くやり直したのが本稿となります。お楽しみいただければ幸いです。

本作は基本的には簡明な文体で書かれており翻訳は比較的容易だったのですが、内省的な主人公が日本人のごとく(?)曖昧な言葉を連ねて内省する箇所が随所にありまして、そういう箇所の翻訳はやや抄訳気味ないし超訳気味であることをお断りしておきます。悪しからず。

ちなみにワートンベイカーの邦訳作品は短編『人生の部屋』だけのようです。わたしはたまたまSFマガジンのバックナンバーで読んだことがあるのですが、あまり面白いとは感じませんでした。個人的にはこの『氷河期来たる』のほうが上かと思います。

(2019年5月1日)